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ABM戦略と金融機関への実践的アプローチ


昨今、Web広告や展示会など、多くの企業が様々なマーケティング活動に取り組んでいます。

しかし、限られたリソースの中で、闇雲に顧客を狙っていては、本当に必要なペルソナにアプローチできているとは言えません。


そこで注目されているのが ABM (アカウントベースドマーケティング) です。ABMは、ターゲットを絞り込み、その顧客を獲得するための戦略を練ることで、リード獲得の効率化やマーケティングROIの向上に大きく貢献します。


本記事では、ABMの基本的な概念から、そのメリット・デメリット、金融機関へのアプローチとしての実践方法、さらに導入ステップに至るまでを詳しく解説していきます。

 

ABM(アカウントベースドマーケティング)とは何か?



ABMとは、アカウントベースドマーケティングの略称で、特定の顧客または顧客グループに焦点を当てたマーケティング戦略の一つです。

従来のマーケティング手法では広範なターゲットに向けたアプローチが一般的でしたが、ABMは特定の企業や組織を個別にターゲティングする点で異なります。


ABMは、顧客のニーズやビジネス課題を深く理解し、カスタマイズされたソリューションを提供することで、より密接な関係を構築することを目指します。

この戦略は、特にBtoB市場において効果的であり、セールスチームとマーケティングチームが連携して取り組むことが求められます。


ABMの実践には、ターゲットアカウントの明確化、関連するコンテンツの作成、パーソナライズされたコミュニケーションの実施が含まれます。

このプロセスにより、企業はリードの質を向上させ、顧客獲得の効率を高めることができます。さらに、ABMは投資対効果(ROI)が高いとされ、多くの企業がこのアプローチを採用し始めています。


このように、ABMは顧客との関係を強化し、ビジネスの成長を促進するための重要な手法として認識されています。


注目される理由



近年、ABMの考え方が注目を集めているのには、3つの理由があります。


従来のマーケティング手法が抱える課題を的確に解決するため

伝統的なマーケティングは多くの場合、広範なターゲットに向けて広報活動を行いますが、ABMは特定の企業やアカウントを対象に、個別化されたアプローチを取ります。

従って、企業はリソースを効率的に活用し、ROI(投資対効果)を最大化することが可能となります。


セールスとマーケティングの連携の強化

ABMでは、特定のターゲットアカウントに集中してアプローチするため、セールスとマーケティング部門が共通の目標を持つことができます。両部門が同じアカウントに注力することで、目標が一致し、より緊密な連携が可能になり、リード育成から契約成立までのプロセスがスムーズになります。


デジタル技術の進化もABMの普及を後押し

データ分析ツールや自動化ツールの進化により、企業はターゲットアカウントの行動を詳細に追跡し、最適なタイミングで適切なメッセージを届けることが可能になりました。

このレベルのパーソナライゼーションは、顧客体験の向上につながり、ABMをより加速させたと言えます。


ABMのメリット

ABMは、企業が特定の顧客やアカウントに向けてカスタマイズされたマーケティング戦略を展開するためのプロセスとして、多くのメリットを持っています。

メリット

説明

ROIの向上

特定のアカウントに絞ってアプローチするため、無駄なコストを削減し、マーケティング活動のROIを向上させることが可能。

 

リソースのコスト削減

特定のアカウントに集中することで、無駄なリソースを削減できる。

PDCAサイクルの高速化

ターゲットを絞ることで、迅速に戦略を策定・実行できる。

パーソナライズされたマーケティング

各アカウントに合わせたコンテンツを提供するため、エンゲージメントが向上する。

良好な顧客関係の構築

ターゲットアカウントとの関係構築が促進される。

営業とマーケティングの連携強化

マーケティング部門と営業部門が密に連携するため、部門間の連携が行いやすくなる。

 

アプローチの効率化

効率的なアプローチにより、見込み顧客を効率的に獲得できる。

高いリード獲得効率

ターゲットにピンポイントでアプローチすることで、高品質なリードを短期間で獲得できる。

効果測定のしやすさ

特定のアカウントに絞っているため、効果測定がしやすい。

 

部門を超えた連携

組織全体で取り組むことで、部門を超えた連携が行いやすくなる。

 

ABMのデメリット



ABMは多くのメリットを提供する一方で、いくつかのデメリットも考慮する必要があります。


①ABMは非常にターゲティングが絞られているため、広範な市場へのリーチが制限される可能性がある点

ABMは、すべての企業に適したマーケティング戦略ではありません。

ターゲット市場やビジネスモデルに応じて、ABMが適切かどうかを判断する必要があります。特定のアカウントに対するカスタマイズされたアプローチが必要となるため、実行には時間とリソースがかかります。

マーケティングチームと営業チームの連携が不可欠であり、これが不十分であると、効果的な結果を得ることが難しくなります。


②質の高いデータの収集と分析をできないと期待した成果を上げることが難しい点

質の高いデータの収集と分析が求められるのは、ABMはデータに基づいて戦略を構築するためです。加えて、ABMの導入には専用のツールやソフトウェアが必要となることが多く、初期投資が高くなる可能性があります。

これらの要因から、中小企業にとっては特に資源の割り当てが課題となることがあります。ABMの効果を最大化するためには、慎重な計画と持続的な評価が不可欠です。


ABMの成果が期待できる企業とできない企業



成果が期待できる会社とは

ABMの成果が期待できる会社とは、具体的な条件や特徴を持つ企業です。


①ターゲットアカウントを明確に定義できる企業

ABMでは、特定の企業や顧客に対してリソースを集中させるため、ターゲット選定が重要であり、顧客データの分析力や、セグメンテーションに強みを持つ企業が適しています。


②顧客インサイトに基づく独自の価値提案が行える企業

顧客のニーズや課題を深く理解し、それに応じたソリューションを提案できる企業こそが、ABMでの成功を収めることができます。ABMにおいて他の競合と差別化されたアプローチ重要であり、顧客にとって真に価値のある提案を行うことで、顧客ロイヤルティを高め、長期的な関係構築に繋がります。


こうした条件を満たす企業は、ABMを効果的に活用し、競争優位性を高めることができるでしょう。

 

施策がマッチしない会社


一方、施策がマッチしない会社とは、以下ような企業です。


①ターゲット企業のリストが不明確で、具体的なペルソナが定義されていない企業

ターゲット企業が明確でないと、どの企業に対してアプローチするべきかが判断しづらくなり、マーケティングの焦点がぼやけてしまいます。また、顧客の課題やニーズに合わせたメッセージを設計することが難しく、一般的な内容になってしまうため、顧客の共感を得にくくなります。


②クリック数やコンバージョン率などの短期的な指標だけを成果としている企業

従来のマーケティングのように、クリック数やコンバージョン率などの短期的な指標だけでなく、顧客との関係性やエンゲージメントなどを長期的な視点で評価する必要があります。ターゲットアカウントのニーズを深く理解し、それに合わせた価値を提供することで、長期的なパートナーシップを築くことを目指す必要があり、短期的な指標だけに注目すると、この質の高い関係構築がおろそかになりがちです。


こうした要素が揃わない企業では、ABMは効果を発揮しにくいでしょう。



企業が取り組むべき導入プロセス


ABMを成功裏に導入するためには、体系的な以下の3つのステップを踏むことが重要です。


①ターゲティング企業の特定・分析

このステップは、ABM戦略全体の成功を左右する重要な要素であり、慎重に取り組む必要があります。


ステップ1:企業が持つ製品やサービスが最も価値を提供できる業界や市場セグメントを特定し、企業の規模、成長性、業界内での地位、地域的な要因などを考慮に入れたうえで、ビジネスゴールやリソースに合致する企業を選び出すことが重要です。


ステップ2:

特定した企業に関するデータを収集し、彼らのニーズや課題を深く理解することが求められます。これは、公開情報の調査、企業のニュースリリースのレビュー、加えて業界イベントやカンファレンスでのネットワーク活動を通じた情報収集が含まれます。

こうしたデータを基に、ターゲット企業に対して最も効果的なメッセージやプロポジションを策定します。

加えて、ターゲット企業の意思決定者やインフルエンサーを特定することも重要であり、影響力のある接点を確立し、よりパーソナライズされたアプローチが可能となります。


これらのステップを経ることで、ABM戦略はターゲット企業に対してより効果的かつ効率的に働きかけることができるようになります。

ターゲット企業の特定は、ABMの成功に直接つながる重要なプロセスであり、時間とリソースをかけて丁寧に行う価値があります。


②特定の顧客への戦略的なアプローチの策定

この段階では、ターゲット企業のニーズや課題を深く理解し、それに応じたカスタマイズされたマーケティング戦略を設計します。

まず、ターゲット企業の業界動向や競合分析を行い、企業が直面している特定の問題点を特定します。


次に、その企業のキーパーソンを明確にし、彼らの意思決定プロセスや購買行動を把握することで、効果的なメッセージングが可能となり、企業のニーズに合ったソリューションを提案することができます。パーソナライズされたコンテンツを提供し、顧客との関係構築を深めることが成功の鍵となります。

この過程では、カスタマージャーニーマップを作成し、各ステージでの最適なタッチポイントを設定することが重要です。


アプローチ方法の選定においては、スケーラビリティを考慮し、リソースを効率的に配分することも重要です。データ分析ツールやCRMシステムを活用して、アプローチの効果をリアルタイムで評価し、必要に応じて戦略を調整することで、より効果的なABM活動を実現します。


このように、特定の顧客への戦略的なアプローチを策定することで、ABMの効果を最大限に引き出すことが可能になります。



BtoBビジネスにおける施策の種類


  • タッチポイント施策

ABMでは、ターゲット企業との長期的な関係構築が重要となります。そのために、様々な接点を通じて顧客とコミュニケーションを図り、信頼関係を築いていくタッチポイント施策が重要となります。

具体的には、メール、電話、ソーシャルメディア、ウェブサイト、直接訪問など、多様なチャネルを通じて一貫したメッセージを届けることが求められます。

タッチポイント施策の成功には、ターゲット企業のニーズや関心に応じたカスタマイズされたコンテンツの提供が不可欠です。


例えば、企業ごとに異なる課題を理解し、それに対するソリューションを提案するパーソナライズされたメールキャンペーンを実施することで、受け手の関心を引きつけることができます。

また、ソーシャルメディアではターゲット企業のアクティビティをフォローし、リアルタイムでの反応やフィードバックを行うことで、双方向のコミュニケーションを促進します。


  • コンテンツ施策

次に、ABMにおいて、顧客との接点となるタッチポイントで重要な役割を果たすのがコンテンツ施策です。質の高いコンテンツを通して、ターゲット企業や担当者とのエンゲージメントを高めることを目指します。


彼らのニーズや課題に直接関連するコンテンツを提供することで、より深い関係構築を目指すものです。

この施策は、単に情報を提供するだけでなく、ターゲットの意思決定に影響を与えることを目的としています。


具体的には、ホワイトペーパー、ケーススタディ、ブログ記事、業界レポート、パーソナライズドメールなどが考えられます。

これらのコンテンツは、特定のアカウントに対してカスタマイズされ、彼らが直面している具体的な問題を解決するための情報を提供します。

アプローチする相手の役職や部署などによって、訴求ポイントや刺さるメッセージは異なるため、ABMにおけるコンテンツ制作では、ターゲット企業の「誰に向けて」「どんなメッセージを」送るべきかを、しっかりと整理した上で準備していくことが大切です。

加えて、金融業界特有の規制やコンプライアンス要件を考慮したコンテンツ戦略を策定することも不可欠です。


ABM戦略の実践方法

イベントマーケティングとの相乗効果


ABMとイベントマーケティングを組み合わせることで、ターゲットアカウントとの関係を強化し、より深いエンゲージメントを促進することが可能です。

具体的には、イベントマーケティングを活用してターゲットアカウントを招待し、直接の対話や体験を通じてブランドの価値を伝えることができます。

これにより、オンラインでは得られにくい信頼関係を構築し、顧客のニーズをより具体的に理解することができます。


イベントマーケティングの成功に導くポイント

イベントマーケティングを成功に導くには、参加者に特別感を与える施策がポイントとなります。

具体的には、イベントの開催前には、参加予定のターゲットアカウントに対してパーソナライズされた招待状を送ることで、特別感を演出し、参加意欲を高めることができます。

また、イベント中には、製品デモやワークショップを通じて、ターゲットアカウントの課題解決に直結する情報を提供し、実際の使用感を体験してもらうことが重要です。


イベント後には、参加者へのフォローアップを迅速に行い、イベントでのフィードバックをもとにしたパーソナライズされた提案を行うことが効果的です。

これにより、ターゲットアカウントとの関係を継続的に育むとともに、リードを顧客へと変換するプロセスを加速させることができます。


このように、ABMとイベントマーケティングを組み合わせることで、ターゲットアカウントに対する深い理解と関係性の構築が実現し、ビジネスの成長を促進することができます。


ABMを活用したイベントマーケティング事例

ABMを活用したイベントマーケティングは、ターゲットアカウントとより深い関係を築くための効果的な手法です。

ここでは、具体的な事例を挙げて、その成功要因を探ります。


あるBtoB企業では、製品展示会を単なる情報提供の場から、特定のアカウントに対するパーソナライズされた体験の場へと進化させました。

この企業は、展示会前にターゲットアカウントの課題やニーズを徹底的にリサーチし、それに基づいてカスタマイズされた提案やデモンストレーションを準備しました。

さらに、イベント中には専用のコンシェルジュを配置し、訪問者が自社製品を最大限に体験できるようサポートしました。

これにより、参加者は自社のニーズに合った具体的なソリューションを直接体感することができ、商談成約率が大幅に向上しました。


また、別の企業では、オンラインイベントを活用して、特定のアカウントに焦点を当てた独自のコンテンツを提供しました。ウェビナー形式で行われたこのイベントでは、ターゲット企業の業界課題に特化した専門家を招き、深いディスカッションを行いました。

参加者は、イベント後もフォローアップセッションを通じて、さらなる情報交換や関係構築を行うことができ、結果として長期的なビジネスリレーションシップの強化につながりました。


これらの事例は、ABMをイベントマーケティングに取り入れることで、よりパーソナライズされたアプローチが可能となり、顧客との関係性を強化できることを示しています。

成功の鍵は、ターゲットの理解に基づいた戦略的な準備と、イベント後の継続的な関与にあります。


セミナーインフォがおすすめするABM×イベントマーケティング

「ターゲット企業の意思決定権者と会えるラウンドテーブル」



ラウンドテーブルとは​少人数で金融機関のキーパーソンと直接対話し、課題や知見を共有することで関係構築が可能なプライベートイベントです。


ABMの核となる詳細なターゲティングや「ラウンドテーブル」の企画から当日の運営までフルサポート可能です。

また、イベントにおいて金融機関のキーパーソンとなる有識者をイベントテーマに即したファシリテーターを選定し、アサインすることも可能です。

過去にも金融機関向けのラウンドテーブルの開催の実績があり、企業のCXOクラスの参加者をお呼びしていいます。

イベント開催企業様と金融機関の方とのディスカッションを活発に行われており、金融機関とのラウンドテーブルは相性がよいと考えており、実際に金融機関の参加者から、「金融業界においては、積極的なディスカッションができる場がまだまだ少なく貴重な機会でまた参加したい」など、ラウンドテーブルに前向きな声も頂戴しております。


まとめ



ABMは、企業が特定のターゲットアカウントに焦点を当て、よりパーソナライズされたマーケティング戦略を展開するための強力な手法として、ますます注目を集めています。

ABMの成功には、企業全体での一貫した取り組みやリードを効率的に顧客に変換するプロセスの確立が不可欠であり、他社の成功事例を参考にすることで、実践へのヒントを得ることができます。

これらの要素を効果的に活用することで、企業は競争優位性を高め、新たなビジネスチャンスを創出することができるでしょう。


ABMの導入は一朝一夕では成し遂げられませんが、その投資は持続的な成長と顧客満足度の向上につながります。

今後のマーケティング戦略にぜひABMを取り入れてみてはいかがでしょうか。



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